【為替】1/15 スイス・フランショックまとめ(フラン対ユーロ上限撤廃)
こんにちは、K2 Investment 投資アドバイザーの眞原です。
今回の資産運用相談ホームページブログでは為替「スイス中銀ショック(フラン対ユーロ上限撤廃)」についてお伝えします。
日本時間の1/16日夜半にかけて、為替マーケットでは過去数年以来なかった大混乱が巻き起こりました。
なぜならスイス中央銀行が3年半近く続けてきた「対ユーロへのフラン上限撤廃」をサプライズのタイミングで発表したからです。
下で昨日からの流れなどをざっとまとめましたが、
果たしてこのスイス・フランショックによってどのような可能性(懸念)があるのでしょうか?
1.)個人FXトレーダー(投機家)が大損をしている可能性
2.)今回のフランショックでマイナスを出したヘッジファンドが資金手当ての為に、投資している資産のポジション調整=流動性の高い株式資産売却などへ動く可能性
3.)USDへの資金回帰加速への可能性
(特にスイスプライベートバンクを利用している超富裕層がスイス経済(フラン)と自身の資産の切り分けや通貨配分比率の見直しを行うであろうため)
4.)ユーロ(EUR)の売りの可能性→来週のECBでの量的緩和(QE)観測、25日ギリシャ総選挙の結果
5.)スイス中銀への信任が下落、他の中央銀行への波及懸念(各中銀発表の金融政策への不信=各国中銀も同様に、今回のスイス中銀のような手の平を返す破壊的な方法を取ってくるかもしれない可能性)
<EUR/CHF 5年為替チャート>
今日の為替動向だけを見ると「為替」や「投資」は危険!としか感じないニュース報道ですが・・・
あくまで歴史の中で為替や経済も動いているので、超短期や数日の動きだけではなく、中長期チャートや流れを掴んだ上で判断しましょう。
今回の大混乱をまとめると、
スイス中央銀行が『2011年9月にスイスフランの対ユーロレート(ユーロ/スイスフラン)の上限(ユーロ安・スイスフラン高)を1ユーロ=1.20フランに設定したものを無くした』ということです。
さて、そもそも「なぜ、このような上限をもうけなくてはいけなかったか?」という点ですが、
話は遡ること2008年・・・
2008年リーマン・ショック時から欧州の火種はくすぶり続けているのですが、それが全面的に露呈した2011年のギリシャ危機、そこから波及しているスペインや他の欧州債務危機への連鎖の歴史があります。
これらの危機の結果、為替マーケットでは通貨ユーロ(EUR)への信任が下落し、行き場の無くなったマネーが流れ込んだのがスイス・フランと日本円でした。つまり、フラン高と80円台の円高時代への突入です。記憶に新しい人も多いことでしょう・・・。
2011年6月には1ユーロ=1.2フランを割り込むフラン高になり、同年8月には1ユーロ=1フラン(パリティ)そして、対米ドルでも1ドル=0.7フランまでフラン高になっていきました。地理的な要因を考えても分かりますが、ユーロ圏向け輸出が多い時計メーカー(スウォッチ)などスイスの輸出産業にとってこのフラン高は大打撃になっていました。
自国産業を守るためにも、スイス中銀が動きました。
結果、1ユーロ=1.20フランを突破しないようにという目標を設定しまし、この水準を超えそうになった場合、あるいはそこを超える場合は無制限の為替介入を行う準備があるということでした。
なので、この水準を超えるようであればスイス中銀が「自国通貨売り(スイス・フラン売りユーロ買い)」による介入を行うというもので(荒っぽく言えばフランを刷れば良いだけなので)理論的には無制限に可能ということだったのです。
今回、この上限が撤回されたため、為替マーケットは大混乱。
上のチャートでは分かりにくいですが、この発表を受けてフランは対ユーロで一時約41%上昇、スイスの株価指数が大幅下落、翌朝(本日1/16)日本の株式マーケットもこのショックの影響を受けて下落しました。
来週のECB理事会、25日のギリシャ総選挙とユーロ圏に大きな不安要素が控える中での、サプライズなスイス中銀の動き、果たして吉と出るのか凶と出るのか・・・。
為替は、1通貨で持つ事が非常にリスクが高いという事がよく分かる教訓だったと思います。
「日本円資産(JPY)」しか持っていない多くの日本人は、今回のスイス・フランショックをどのように捉え考えているでしょうか?
<参考チャート>