【為替】ブラジルのW杯敗戦から考えるレアル投資
こんにちは、K2 Investment 投資アドバイザーのマハラです。
W杯も終盤に差し掛かっている中、まだまだ寝不足の日本人サポーターが多いのではないでしょうか?日本時間の今朝にはブラジル対ドイツの試合がありましたが、誰があの結果を予想できたでしょうか・・・。
さて、ブラジルといえばこのワールドカップ、そして2016年リオデジャネイロ五輪とスポーツによる経済波及効果が見込まれると言われて早くも数年が経過しています。
ワールドカップやオリンピックという大きな祭典があると、ブラジル国内ではインフラ設備投資、観光客増加、個人消費増加などの経済波及効果が進むので、一定の経済効果(約6兆円)は見込まれています。ただ、実はこの経済波及効果というのは定義が曖昧な算出方法なので実数値を反映していないともよく言われています。ちなみに2020年東京五輪の経済波及効果を150兆円と試算している方もいるようですが、実はかなり懐疑的な数値と考える方が良いでしょう。
そんなブラジル経済ですが、足元ではインフレ率の高止まりと今回のW杯での設備投資への資金投下に対するブラジル国民の反発が問題点として挙げられます。
<ブラジルの年平均インフレ率>
直近のインフレ率は約5.9%程度で推移しています。上記では1990年に2,947%のインフレ率を記録していますが、これはブラジルが人類史上最大のデフォルト(約620億米ドル規模)を引き起こした為で、いわゆるハイパーインフレが起こったためです。
ブラジルに限らずアルゼンチン、ベネズエラなど中南米諸国では歴史的に度々デフォルトが発生していて、その度にデノミネーション(貨幣の呼称単位の切り下げ)を行っています。だからこそ、特に経済が比較的弱い新興国の国民は、自国通貨や政府をあまり信じておらず、米ドルを中心に他通貨へ資産分散しているのです。円資産しか持たない多くの日本と大きく違います。
このようなハイリスク・ハイリターンな新興国通貨に対して、ファンドや外国債券を通じて投資しているのは多くの日本人です。「レアル建て債券」「エマージングボンドファンド(レアルコース)」など思い当たる節があるのではないでしょうか?
日本人投資家の場合は「通貨分散」というよりも「高い金利」と「レアル自体のボラティリティ」に惹かれて投資している場合が多いのですが、ハイリスク・ハイリターンであるという事はしっかり認識する必要があります。中長期的な資産運用における通貨分散とは、先進国通貨を中心に持つことです。オフショアファンド(ヘッジファンド)マネージャーや世界の機関投資家の多くは米ドルから投資しているということを忘れてはいけません。
<BRL/JPY 2009~2014年為替チャート>
最近、ブラジル人と友人と話す機会がありましたが、彼女いわく「公的年金や公的医療制度が無いにも関わらず、年間26%の税金を政府に納めないといけない。しかもその税金の使われ方はよく分からず、結局彼らのポケットに入っていると思うし、だからこそ皆怒っている(カントリーリスク)」と言っていました。
10月にはブラジル大統領選挙があります。今回のブラジル代表のW杯の敗戦が特に現政権へのダメージになるとは想定し難いものの、W杯の熱狂から覚めたブラジル国民がインフレ率の高止まりなど生活が苦しくなる中で政権への不満を募らせないか(カントリーリスク)今後のブラジルレアルの為替動向や株価動向に大きく影響を与えることでしょう。
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