【為替】日本円は本当に安全資産と言えますか?(集団的自衛権閣議決定の観点から)
こんにちは、K2 Investment 投資アドバイザーのマハラです。
本日、日本では「集団的自衛権」を閣議決定されました。ロイター通信日本版では速報扱いで伝えていましたが、他の世界各国メディアではアジアのオフショアエリアの重要拠点である香港での過去10年で最大規模の反中デモをこぞって取り上げています。(7/1は香港返還記念日)
さて、今回はマーケットの判断として「集団的自衛権」を閣議決定が今後どのように「為替推移(JPY)」や資産運用について影響があるのかを考えてみたいと思います。ちょっと歴史の勉強も含んでいるので、是非世界史を思い出して下さいね!
本題に入る前に、写真のブル(雄牛)とベア(熊)について触れておきます。マーケット関係者では共通言語ですが、マーケットの上昇局面(⤴)は、雄牛の角に似ていることから、ブル(強気)、逆に下落局面(⤵)は、熊が立った時に垂れ下がる手に似ていることから、ベア(弱気)と表現します。投資信託の中にはブルベア投信というものがありますが、由来はここから来ています。
本題です。
まずは為替チャート(USD/JPY)から確認してみます。
<USD/JPY為替チャート1980年〜2014年>
過去(歴史)を振り返ってみると、日本円は対米ドルで強く(円高ドル安)に推移してきました。相対的に他の通貨でも同様です。
今のような為替トレード以前は(始まりは19世紀末)金本位制でした。特に第二次世界大戦後に他国経済が疲弊している中で、金保有世界一を誇る米国が米ドル金本位制を中心とするIMF体制(ブレトン・ウッズ体制)なるものを作り、各国は米ドル通貨との固定為替相場を介して間接的に金と結びつける制度。その後、1971年のニクソン・ショック、変動為替相場制度への移行、金本位制の廃止と進み、現在のような為替制度が確立されています。記憶にある方もいるのではないでしょうか?
さてここで「為替(通貨)の価値はいったい何なのか?」という議論ですが、歴史的な1つの答えとしては、その国の「信頼」と「武力(軍事力)」の側面が否めません。つまり「武力(軍事力)」があるからこそ結果、米国主導の資本主義となり、大戦後に米国が英国に変わり世界の警察として米国の資本主義経済(グローバル化)の下で、世界の各企業が競争し繁栄する世界となってきた訳です。だからこそ現在は、中国が世界の覇権を握りたい思惑も含め軍事力に力を入れ、米国も負けじと軍費に歳出を注いでいるのです(ただ直近は米国は徐々に減らしている)。
それでは「日本円」について触れてみます。これまで世界のどこかで「政情不安」や「テロなどの地政学リスクの高まり」というニュースの度に、逃避先の円買い(円高)というニュースを見聞きしたことがあると思います。それだけ日本は「平和」で「信用」がある国として見られてきた側面、日本の輸出企業が海外の外貨を日本円に戻す動きもあり円高(逃避先)になっていたという背景もあります。
そして今回、集団的自衛権の閣議決定によってこの「平和」や「信用」という点に揺らぎが生じ逃避先の円買いという過去の経験則が覆る懸念があります。この閣議決定で、中国を始めとする極東地区における地政学リスクの高まりの中に、日本が含まれる事態に変わってしまったからです。今後、仮にアジア地区や他の地政学リスクが高まれば、日本円買いではなく、これまで以上にリスク逃避先のスイスフラン買い(永世中立国+スイス軍)が好まれると考えられます。そういう意味で歴史的にスイスプライベートバンクに資産を置く富裕層が多いのです。
資産運用の観点から見ると、今回の決定は金本位制の終了当時と同様に1945年に国連憲章で集団的自衛権が決まって以来、誰も経験したことがない日本円の為替推移になる懸念(つまり今後は「逃避先の円買い」という過去の経験則はアテに出来ない)ということになります。
歴史的に大きな戦争や争いが多かったヨーロッパ圏では自国通貨以外に他の通貨で資産を持っておくという考え方がごく当たり前です。日本円しか持っていないリスクの高まりを回避する上では、外貨建てで資産形成が出来る海外積立投資などでも通貨分散(通貨リスクヘッジ)を一層考える時代に突入したと言えそうです。
今後の日本円は「ブル」もしくは「ベア」?為替はシーソーなので、どちらに転んでも良い様に「日本円は安全資産」と思い込まないよう、通貨分散(国家と自分の資産を切り離す)を考えてみましょう。
↓↓↓