【初心者の心得】上げ下げに賭けて、投資信託(ファンド)を回転売買をする愚かさ
こんにちは、K2 Investment 投資アドバイザーの眞原です。
今回の資産運用相談ホームページブログでは初心者の心得シリーズで『上げ下げに賭けて、投資信託(ファンド)を回転売買をする愚かさ』について情報をお伝えします。
大前提として・・・
投資信託(ファンド)はデイトレードの株式や為替のように「上げ下げ賭けて売買するものではない」という事を伝えます。
これは多くの投資家がかなり勘違いしている点です。
(販売している銀行員や証券マンも同様)
日本の銀行や証券会社で投資信託(ファンド)へ投資している退職者世代やNISAを活用している若い世代は多いと思います。中でも退職者世代は退職後に「資産運用=投資信託」と考えている人も多いのでは無いでしょうか?
さて、投資信託(ファンド)で運用を始めた場合、よくある勘違いの1つに『日々のマーケットに照らし合わせて、基準価額が上昇したり、下落したら売買をする』という考え方があります。これは投資信託(ファンド)においては完全に誤った考え方です。(株式や為替の短期デイトレード的な思考法)
具体的にグローバル・ソブリン(毎月分配型)というファンドのチャート推移を用いて確認します。
このファンドは毎月分配型の先駆けとなった老舗のファンドです。ただ、ベンチマーク(青色チャート)を上回れない、運用が下手なファンドの典型です。さて、分配金再投資(赤色チャート)、基準価額(黒色)、純資産総額(水色)を見て下さい。
また、毎月分配金は取り崩しでしかないので投資家のリターンではなく基準価額は下落の一途です。同時に純資産総額も下落の一途です。08年〜09年のリーマン・ショックを堺に基準価額と純資産総額が大きく下落しているのが分かります。考えられる理由は2つ。
1.)ファンドの保有している資産価値(債券など)が大きく値下がりした。
2.)株式などマーケットの下落を見た投資家からの解約数が大幅に増えた。
1つ目はこの時期であればどのファンドも同様です。リーマン・ショック時には株式、債券、為替とどの資産を持っていても大きく毀損しているので、損切りの為にもファンドが無理にそれらを売却して現金化した事(や価値が無くなった資産がある)が挙げられます。
2つ目ですが、まずそもそも投資信託(ファンド)は、投資家から信託された資金のほとんどを運用してリターンを上げる為に、株式や債券などの資産で運用をしています。なので、ファンドには現金(キャッシュ)というのは数パーセントという風にしてあまり保有していません。(=銀行が預金者の預金を企業へ貸付しているような原理と同じ考え方。銀行はほとんど現金がない=企業へ貸付をしているから。)
にも関わらず、個人投資は「目先のマーケットが下落しているから」などの理由で、例えば1年も満たないまま短期で解約したり、大口で投資している投資家の解約が相次いだりすると、1つ目に挙げたように「ファンドが保有している資産を無理やり叩き売りで売却せざるを得ない」ことになり、無理にキャッシュを作る結果、基準価額も純資産総額も下落することに繋がります。
投資信託の乗り換え(回転売買)についても同様です。「人気ファンド」と呼ばれるファンドへの投資や新規設定ファンドへの投資を促す為に、それまで投資しているファンドを売却して新たなファンドへの買付を促すと、以前のファンドの純資産額は下落し基準価額も下落します。これを繰り返すことで投資信託(ファンド)自体は、キャッシュ比率を上げたりとまともに運用が出来ないのでファンド自体のパフォーマンスも下がってしまう結果に繋がります。全ての人がアンハッピーな状況です。
これが日本の投資信託(ファンド)運用の実情です。そもそも目先の上下にあわせて短期で売買するような資産ではない投資信託(ファンド)にも関わらず、多くの投資家が株式デイトレ売買のようにファンドも売買をしています。
全ての人がアンハッピーになるような決断にも関わらず『日々のマーケットの上げ下げに賭けて、投資信託(ファンド)を回転売買をしているというのは実に愚かであるか』という事が良く分かると思います。日本の投資信託(ファンド)運用においては、投資家の考え方、販売者(銀行員や証券マン)、運用会社(ファンド)それぞれの統一した考え方にならない限り、運用パフォーマンスが向上していくとは難しいと思います。
一方、海外ではそれを防ぐべく(且つ投資資産にもよりますが)、オフショアファンド(ヘッジファンド)は、月1度の売買にしたり、現金化するまでに数ヶ月掛かったりという風にして、ファンドのパフォーマンスや投資家にとってネガティブになりにくいような運用をしています。
初心者の心得としては『目先にとらわれず中長期(最低でも3〜5年程度)で運用できる資金を資産運用に充てる』というのが大切な考え方になります。