日本の社会保障が国民所得の30%に
高齢化、社会保障負担増、財政赤字、赤字国債、借金1000兆円・・・などどう考えてもどうしようもない日本だが、ついに昨年度社会保障給付が100兆円を突破し、国民所得に占める割合が30%を超えた。2025年度には社会保障給付は151兆円にもなり、国民所得に占める割合が35%を超えるようになるという。
これを諸外国と比べてみると以下のとおり。
アメリカ:29%
イギリス:25%
ドイツ:35%
フランス:38%
スウェーデン:37%
国民所得に対する社会保障の率が高いということは、それだけ手厚い社会保障があるということである。つまりアメリカやイギリスは社会保障はあまり重視しておらず、あくまで自分たちの生活は自己責任で自分たちでまかなえ、というもの。対して欧州諸国は手厚く保障をしてくれる、ということである。
これだけ見れば誰だって欧州がいいという印象を受けると思うが、社会保障をするためには当然財源がいる。誰がその財源を担うかというと以下の2つ。
・税金(現代世代が払う)
・国債(将来世代が払う)
どちらかしかないのである。
そして上記の通り、税金を取ればそれは今の世代から社会保障が賄われているということになり、これを「国民負担率」と呼んでいるが、これが問題がある。
日本の国民負担率は38%。諸外国は以下のとおりである。
アメリカ:31%
イギリス:45%
ドイツ:51%
フランス:58%
スウェーデン:60%
そう、日本より低いのはアメリカだけ。国民負担率が低いということは、それだけ国債を発行して自転車操業していくしかない。借金(国債)は満期があるものであり、当然いつかは返さなければいけないものなので、将来の世代が頑張って働き税金を納め、今の社会保障を受ける人達のための借金の穴埋めをするということになる。つまりアメリカはそれだけ今のツケを将来に飛ばしているだけである。
これが日本もまったく同じ状況。
対して欧州諸国は、ちゃんと高い税金を取り、現役世代から社会保障を担っていることがわかる。税金にも色々な種類があり、皆さん御存知の通り、そうそう簡単には上げられない。最も平等に上げられるとすれば消費税(消費をたくさんする贅沢な人からたくさん取れるから)だが、今新内閣がしようとしている消費税は10%。しかし消費税1%を上げるだけで年間2.5兆円しか収入増にならないそうなので、5%増で年間10兆円。しかし2025年までに増える社会保障費は40兆円もあり、それを補うにはすぐにでも消費税を15%に引き上げる必要がある。先の数字の通り欧州諸国を目指すのであれば、欧州諸国と同様に20%まで引き上げなければならない。
さて「そんなことできないだろ」と思っているあなた。だからと言って、現役高齢者世代(65歳以上)に支払う社会保障を減らすことのほうができませんので(彼らが多くの票を握っている)、どうにかして資金(予算)を捻出しなければいけません。そう、もうおわかりですね。上記の通り、国債を発行し、借金をして現役高齢者世代にお金をあげていくのです。そう、自転車操業です。その借金を返済していくのは、(主に)このブログを読んでいる30~50代世代です。
年金支給年齢引上げの話も常にあります。先に挙げた国のうち、日本以外はすでに67~68歳に引き上げています。しかし日本はまだそれを引き上げようかな、と言い出している段階です。その間にどんどん借金(社会保障)の額はふくれあがっていくため、今までこれだけの額になってしまった、ということですね。決断力のなさ、ということです。
最後に総人口に占める65歳以上の割合(高齢化率)ですが、日本は23%とダントツ先進国で最も高い。その他の諸国は以下のとおり。
アメリカ:13%
イギリス:16%
ドイツ:20%
高齢者の割合が高いということは、以下の2つのデメリットがあります。
・社会保障費が多く、財政負担が大きい
・将来の借金を返していく(働き)世代が少ない
ということです。つまりは自転車操業で言うなら「火の車」ということですね。
ちなみにこの日本の高齢化率は2055年には40.5%となります。2055年といえば、今から44年後。私が75歳の時です。その頃には今の社会保障(年金、健康保険など)がもらえているとはとても思えませんね、、。