ロシア危機
本日はロシア危機について復習してみようと思います。
ロシア危機は1998年8月にロシアが90日間の国債などの債務支払停止を発表(実質デフォルト=破綻)したことから、ロシアへの信用が一気になくなり、ルーブル(ロシアの通貨)安→株安→ロシア債券安→ロシア国債金利高となりました。国債の金利が上がるということは、ロシア政府が借金に上乗せして返済しなければいけないお金がさらに増えるということです。
ロシア政府は慢性的な財政赤字の状態でしたが、資源価格(原油や天然ガス)の価格が高い時は問題ありませんでした。輸出の80%を資源関連で占めていたからです。
しかし前回のアジア危機の煽りを受けて、世界中景気が後退している状態が続きました。また投資資金はリスク回避を強め、米国債券などのような安全資産へとシフトしていきました。
ロシアは今もそうですが、国債の金利が高く(その分リスクも高い)、国の財政状態も良くないという状態だったので、まさにリスク資産の典型でした。つまりロシアからも資金が逃避したのです。
ルーブル安を起こしたことで、外貨(米ドルなど)で借金をしていた国内の銀行が破綻し始め(ルーブル安によって借金が増えてしまった)、さらに国内経済を悪くします。
ノーベル経済学賞を受賞した経済学者であるマイロン・ショールズとロバート・マートン(ブラック・ショールズモデルを作った人)とソロモン・ブラザーズにいたジョン・メリウェザーが一緒に作ったLTCM(Long-Term Capital Management)という10兆円もの資金を運用していたヘッジファンドが破綻したのもこのロシア危機の時です。彼らはロシアの状態はしばらくすると元に戻ると思いポジションを取っていたのですが、ルーブル安、ロシア株安が続き、その損失に耐えられなくなってしまいました。
その後、1999年から資源価格(原油や天然ガス)が上昇し、ロシア経済は通常に戻っていきます。
今の私たちの投資環境に置き換えると、債務が多く、借金をして債務の返済をしているというのは日本も同じ。さらに金利が高く、株高、通貨高で今まで来ているのはブラジルです。ブラジル債券は金利が高いですが、そのせいでここ1年は債券単価が高くなりすぎています。債券単価が変動することを知らない方も多いのですが(笑)、すべての債券(日本やトヨタなども含む)単価は上下に変動します。特にブラジル国債のような格付けが低く、金利の高い債券の価格は大幅に上下に変動します(=リスクが高いということ)。
ブラジル国債は単価は上昇しすぎています。おそらくここ1年くらい日本の投資家含む外国人投資家の資金が入ったためでしょう。債券は満期時には元本に必ず戻る(100円で発行されたものは100円で返ってくる)ので、今上昇している国債単価も満期時には元に戻るということです。わかりますね?よくよく売却タイミングというのを考えてくださいね。証券会社が連絡をしてくるのは、売却タイミングの時ではなくて、何か買ってほしい時ですから、証券会社からの連絡を期待しないでくださいね(笑)。
くどいようですが、もう一度「売却タイミング」を言うと、
・債券単価が高い時
・現地通貨(ブラジルレアルなど)が高い時
ですからね。