ポンド危機
今回お話するポンド危機は前回書いたアジア危機よりもさらに過去にさかのぼります。
時は1992年。1990年東西ドイツが統合し、EUと統一通貨ユーロという新しい構想の元、各国は調整をしていました。ヨーロッパの顔であるイギリスも同様にユーロに加わるために尽力していたのです。
しかし当時のイギリスというのは、今の日本のように経済は決していい状態ではありませんした。しかし英ポンドを新通貨ユーロにするためには、当時の独マルクに対して通貨を固定しなければいけません。そのレートというのが当時のポンドにとっては高かったのです。前述したように当時のイギリスは景気が悪く、放っておけばポンドは安くなる一方でした。しかし通貨統合のために自国通貨を意図的に高くしなければいけません。そこでイギリス中央銀行がしたのは利上げです。
皆さんご存知のように、景気が悪い時に利上げなどしたらどうなるか。さらに景気が悪くなります。今の日本と同じです(笑)。誰も今の日本で利上げができるとはとても思わないでしょう。
もう一つ英ポンドを下げる手段としては、対照通貨であるマルクの価値を下げることです。そうすれば自然とポンドが高くなります。しかしドイツは当時、東西ドイツ統合の余波で、インフレ状態でした。インフレを抑えるにはえ金利を上げるしかありませんし、そんな時に金利を下げる余裕などありませんでした。
ここに目をつけたのがジョージ・ソロス。彼はこんな無理な政策が長く続けられるはずはない、と考えたのです。そこでソロスはポンドを大きく「空売り」し、案の定イギリスは通貨統合を諦め、故意に価値を上げられていたポンドは一気に20%も下落しました。
結果、ヨーロッパでポンドだけが通貨として残ったのです。しかし皮肉だったのはポンド危機の後、いち早く景気回復を見せたのがイギリスでした。ポンド安になったことで、輸出が伸び、景気が回復したのです。今の日本もそれを望んでいます。
今の日本は円を安くすることを必死に考えるべきですね。。