野村、旧リーマンと人材融合
前回の野村の人事異動で、元リーマン出身のジャスジット・バタール氏(インド人)が朝新設する「法人取引部門」のCOOに就任した。
記事によると、リーマン出身者を合わせて、野村全体の社員が買収前の1.4倍になり、すでに60%が外国人だそう。いまだに収益の85%は日本関連の収益なので、これをグローバルに分散させることが今後の課題である。
優秀な外国人へのインセンティブは、お金だけでなく、マネジメントという責任ある仕事がポイントになってきているという。以前、私が勤めていて強く思ったのは、いい意味も悪い意味も企業文化の強さ。いい意味では、これが国内セールス部門の底力となり、収益を支えてきた。悪い意味では、新しいことや違う角度からの考え方をあまり受け入れようとしなかったこと(今までのやり方を重んじるところ)。これは何を優先にするか(プライオリティ)の違いで、外国では株主重視(収益重視)がハッキリしているので、どれだけ過去に成功してきたことでも、今後のマーケットに合わなければ必ず切り捨てるという習慣がある。勇気を持って間違いを認める習慣もある(もちろん全部が全部そうではないが)。それを今回のリーマン合併で解消されていくとなると、きっと世界で野村は強い存在になると思う(少なくとも今よりは)。
しかし残念なのは、国内営業部門ではこれ以上サービスも商品力も向上させられないこと。理由はもう国内リテール市場が飽和状態にあり、収益稼ぎが新しい顧客の開拓ではなく、既存顧客の売買によって収益が成り立っているからである。国内には1400兆円という個人金融資産があり、そのうちリスク資産はたったの10%。そう考えると底が深いように思えるが、10%が今後相当数増えることも正直期待できない。なぜならば、今までいい相場の時もありながら、変わらなかった人達が今後変わるとも思えないからだ。
今いる野村の社員に聞くと、国内リテール部門の戦略も大きく変化してきた。以前はあくまで収益追求だったが、今は収益横ばいでもOK。それよりも人材を報酬制のような変動費に移したり、国内営業部門の人材を減らして、今後伸びる分野の人材を増やすということをしているよう。私もその方が懸命だと思う。
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