社債引き受け証券会社火花
個人投資家がよく証券会社で見かける「公募増資」。株もあれば、債券という形で資金調達してくる企業が多いと思う。特に昨年は2008年の10倍の5兆円もの資金を調達した(つまり投資家から借金をしたということ)。
そして証券会社が言ってくるのは、「〇〇という会社が公募増資をします。金利◯◯%で定期よりはいいですよ。」というセールス。この裏話がこの記事でよくわかります。
この記事は、各証券会社が、企業から社債の発行を引き受けるのに「主幹事」となる競争が激化してきたとのこと。証券会社は主幹事になることで、大幅な引き受け手数料をもらうことができる。副主幹事などはほとんど利幅がないため、この「主幹事」の座を手にいれるかどうかが引受業のすべてだとも言える。
そして今回、三井住友FGと大和証券グループが資本関係を解消したことで、「主幹事」総取り合戦が始まった。どこで競うかというとポイントは二つ。
1)引き受けの際のスプレッド(証券会社の手数料)
要は価格競争。手数料を安くしてでも引き受けシェアを手に入れたいという証券会社側の考え。
2)ちゃんと引き受けた債券を全部募集(投資家に買ってもらう)ことができるかどうか?
これが投資家の利害と一致しない。投資家はその債券がちゃんと倒産しなくて、最後まで安定した金利(できれば高い金利)が付いてくるというのがニーズ。しかし企業からできるだけ多く債券を引き受けたい証券会社は、企業がどんな状態だろうと引き受けたい。しかし、それを自分たちが保有するわけではないのである。投資家に持ってもらうだけなのだから、自分たちは何のリスクもない(顧客からの「評判」というリスクだけ)。さらにもし引き受けた募集が、全部投資家に持ってもらえなかった場合(これを「墓算」という)、残った分は証券会社が自己資金で持たなければならない。そうなると、その企業が倒産するかもしれないし、何かしらのリスクを負うことになる。だから全部投資家にもらってもらうため、躍起になって「買いませんか?」と言ってくるのである。要はリスクをいらないけど、手数料だけは欲しいのである。
あなたのところには、公募の締め切りギリギリになって、「実は公募があるんですけど」と言ってきませんか?(べつに上がっているから持っていればいい)株や投資信託を売って公募を買いましょう、といって言ってきませんか?
ただそもそもここまで全体を理解した上でセールスしている営業マンもそんな多くないですから、「買ってください」と言ってきた営業マンを恨まないでくださいね(笑)。証券会社はそこまでちゃんとわからせた上で営業させるというより、都合のいいところだけ教えて、あとは「おまえは考えなくていい」という考えですから。。
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