すべてのファンドが上がらない時もある
皆さん、資産運用をする時に、リスクを取って投資をするのだから、投資した先が上昇することを期待して投資を始めます。しかしながらとても残念な話ではありますが、投資した先のファンド、というより証券会社にあるファンドのほとんどすべてが下がってしまうこともあるのです。理由は以下のとおり。
1)日本のほとんどのファンドの基準価額が円表記されているから
2)伝統的資産で運用しているファンドが大多数
3)そういったファンド同士の相関関係はとても高い(同じような動きをする)
1)に関連するのは為替。まず皆さん投資されているファンドはだいたい外貨で運用しています(日本には投資してリターンを出せる投資先がないから)。しかしファンドの評価はすべて日本円(日本人投資家理解しやすいから)。そうなるといくら外貨で運用をしていて、売却するまでは為替の損得など関係なかったとしても、毎日出される基準価額ではその為替が影響してしまうのです。つまり今のように一方的に日本円(あとスイスフラン)が高い相場になってしまうと、ほとんどのファンドが一律マイナスになってしまいます。
2)の伝統的資産とは主に株、債券、不動産のことを言います。昔からあるからです。これに対し代替商品(オルタナティブ)というのが最近出てきた伝統的資産に代わる投資先になり、金などの商品(コモディティ)やヘッジファンドなどがそうです。
そして3)ですが、上記伝統的資産である株、不動産(REIT)が景気に敏感で、景気が悪くなると下落するというのは皆さんご存知だと思いますが、債券の一部は実は景気にとても敏感に反応するのです。新興国(ブラジルレアル)債やハイイールド債のような格付けの低い債券がそうです。こういった債券は市場金利に反応するというよりもむしろ株式相場に連動するので、皆さんがこれに投資していたとしても、結局は同じような動きをして、一緒に損をしてしまうのです。
だから乗り換えればなんとかなるというのはまず迷信。証券マンや銀行員が作り出した幻想です。すべて下がるとうことはどれにも投資してはいけない時もあるということです(それが今)。せっかく相談をいただいてもいつも私は「売却しろ」とばかり言わなければいけないので、皆さんには申し訳ない限りですが、そのまま保有していて損を拡大させる(つまりもっと損をする)よりはマシだと思って正直に言っています。
今、投資していい資産は金、コモディティ、ヘッジファンド、外貨MMFです。
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