「社会貢献型」外債とは?
証券会社で「社会貢献型」外債の販売が好調なよう。
「社会貢献型」外債というのは、債券発行で得た資金を途上国支援や地球温暖化対策に充てるという債券。以前、SRI(社会的責任)ファンドのようなものがあったが(景気が悪くなって社会的責任どころではなくなってしまった)、イメージとしてはこれに似ている。
そのイメージで投資を決める方が多いが、これはボラティリティアではなく自己責任の投資。ボラティリティなら損はしないが、投資はリスクが伴い、損をすることもあります。
どこでリスクがあるかというと、名前はどうであれ、自分が出した資金が何に使われようが、外国債券と同じリスクが伴なうということである。
外国債券には以下のリスクがある。
1)債券価格変動リスク
2)為替リスク
3)倒産(信用)リスク
1)の債券価格変動リスクは、以前外貨MMFの説明をした時に債券について触れたので、そちらも見てもらいたいが、要は満期までの期間は単価が上下に変動するということである。上昇するならいいが、下がることもある。どのような時に下がるかというと、金利上昇局面である。その国の政策金利が上昇すれば、以前に発行されていた債券(あなたが購入している債券)の金利は、新しく発行される時につく金利よりも必ず低くなる(同じ発行体、格付けなどの条件のもと)ので、債券の価値としては下がる。つまり債券価格が下がるということだ。今は?と言えば、もちろん金利上昇局面。だから満期までもちたくない方は、今は債券などに投資をしない方がいい。逆にいうと、債券投資をすべきなのは、景気が良かったが、これから悪くなりそうな時(日本のバブル崩壊時や、金融危機前)だ。
上記の債券の仕組みからすると、満期まで債券を持たなければいけなくなる。ここで2)の為替リスクが発生する。以前のブログで為替はリスクではないということを書いたが、ここでは為替がリスクとなる(笑)。それは私がまちがえたことを書いたからではなく、満期時の為替水準というピンポイントのタイミングで為替が円安になっていることを祈らなければいけないからである。
例えば、この「社会貢献型」外債。人気があるのはブラジルレアル建て(4年債:約7%)と豪ドル建て(4年債:約4%)なぜ人気があるかというと金利が高いからである。豪ドルはまだいい。なぜなら満期時に豪ドルで受け取って、それを前述した外貨MMFや外貨預金に置いておけばいいからだ。しかし問題は金利の高いブラジルレアル。ブラジルレアル建てのMMFや外貨預金を見たことはありますか?そう、受け皿になるブラジルレアル建てMMFや外貨預金がないからです(ブラジル系銀行はブラジルレアル預金があると思います)。つまり満期になったら必ず日本円に戻すか、そのまま継続してまた何年後かに満期のブラジルレアル建て債券を買うしかなくなってしまいます。だからこの場合、為替がリスクになります。
3)の倒産リスクは、どの債券にも株にも伴いますが、これは格付けなどから客観的に判断できるのでそれほど問題ではないでしょう。
簡単に高い金利だから、しかも債券で発行体が「社会貢献型」というイメージがいいところだから、ということで投資をしてしまってはダメですよ。
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