新興国から資金流出 BRICs株6~13%下落
記事に出ているのが、各国インデックスの年初来高値と12日の終値の比較である。つまり同じ期間での上げ下げを比較したわけではなく、「今年の1ヶ月半の間で、ブレ幅が多いランキング」となっているので、誤解がないように。。
ともかくブレ幅が大きかったのはロシア、インド、日本、中国、ブラジル、米国の順番。先進国である日本がブレの大きいのも気になるが、やはり比較的ブレが大きかったのはBRICsなどの新興国。
金融の世界では「ブレ(変動率)=リスク」というのが一般的である。よく「リスク=下落率」と考えている方がいると思うので、そこは再認識しておいた方がいいと思う。つまり上下に変動するのを「リスク」と呼んでいるので、下に下がることもあれば上にいくこともあるものである。「ハイリスク=ハイリターン」と言われる所以である。
新興国は昨年も大きく上昇して一年を終えた。日本はこの通り、全然ダメだった。毎年のことだが、「蚊帳の外」である。
今回、新興国が下げた要因としては、「金融の引き締め」。「金融の引き締め」とは経済用語だが、要は「金利を引き上げる」ということ。金利を引き上げると、お金を預ける個人が多くなるのと、銀行から借りる金利が高くなるので、借りる人が相対的に少なくなる。結果、市場からキャッシュが少なくなり、「金融の引き締め」となる。
12日に中国が預金準備率を引き上げた。「預金準備率」とは、銀行が中央銀行に対して、担保として置いておかなければいけないキャッシュの割合。これを引き上げたということは、銀行はもっとたくさんのキャッシュを中央銀行に差し出さなければいけないので、市場からキャッシュが減ることになる。つまりそれだけ貸出ができなくなるので、バブルの懸念のある投資家を抑制する働きになる。同様にインフレを抑えることになる。
「金融の引き締め」を行うと同時に、株式投資にまわるお金も少なくなる。必然的に株価は下がり、今回のような下落となる。しかし、根本的な話をすると、「金融の引き締め」をする意図は、景気が良すぎてインフレになってしまうので、それを抑制するためである。つまり今の新興国ならではの状況である。アメリカや日本はほど遠い話である。ここで、あれ?と思うであろう。なぜなら「景気がいいなら株価は上がってもいいのでは?」と思うはずである。これも正解である。景気は行き過ぎるとバブルとなり、抑えすぎると日本のようなデフレとなる。その舵取りが大事なのだ。つまり根本的には、景気のいいBRICsの株は買ってもいいのである。金融の引き締め?それで下がったのなら、その時に疲労べきである。
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