投信 高リスク型にシフト
投資信託の販売が、新興国株やハイイールド債券などのハイリスク型にシフトしているという。以前はバランス型のような「株や債券、両方持ってリスクヘッジをしましょう」という形のものが多かった。しかし金融危機後、バランス型でリスク分散をしても結局すべて下がってしまったため、目先儲かっているものにシフトしたということだろう。
問題はそれがいいのかどうかである。日本人がファンドを購入しようと思うと、必然的に証券会社や銀行へ行くことになる。ネットで購入する人は自分の意思で購入しているのでまだいいが、各支店で売買している投資家は本当に理解した上で投資しているだろうか?証券会社のセールストークはいつも決まっている。「過去このような運用をしてきて、これだけの実績(分配金など)が出てるので、いいでしょう?」というもの。昨年新興国株式は上がったし、ブラジルレアルや米国ハイイールド債なども確かに上がった。ただそれが今後もそのまま同じように動くだろうか?
またこの新聞からは見て取れないのが、投信の純増だけをとりあげているところで、その裏にある日本の国債や外債、銀行の定期などの増減である。つまりリスクが低くあまり手数料をあげられない商品から、手数料をあげられる高リスク型にシフトしただけではないか?ということである。あわせて証券会社の決算を見てみてもいい。上場企業なら細かく国内営業部門でどのように利益をあげてきたかがハッキリわかる。彼らは個人投資家から投資信託の売買手数料で主に利益をあげているので、きっと昨年は多くの利益を出していたであろう(実際どの証券会社も大幅に黒字転換している)。
1980年代のバブル期の日本株がそうだったように、どうしても業者側の思惑で市場が形成されている感が強いのが気になる。さらに今は「貯蓄から投資へ」という政府の後ろ盾もある。個人投資家にはそういった潮流があるとわかった上で、自己責任の正しい判断をしてもらいたいと思う。
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