毎月分配型のリスク説明義務付けへ
おそらく私だけでなく、証券会社と銀行以外の資産運用に何かと携わる人間は皆言っているように、毎月分配型の収益は利益ではなく自分のお金の取崩でしかありません。
こんなあたり前のことですが、あまりにこれを理解せず、分配金=収益だと誤解している人が多いため、やっと日本証券業協会と投資信託協会が重い腰を上げ、投資家への説明義務を決めました(なにを今更という感じですが)。
対策と言っても、今までのとおり、目論見書にそれを書くこと(誰も目論見書など読みません)とできるだけわかりやすい資料を用意すること(今までだって十分なくらい資料がたっぷりありました)くらいのことです。当然規制をする側としては、対策といってもこのくらいしかできることがないのだろうとは思いますが、そもそもなぜこのような当たり前のことを制度として規制をしなければいけないのでしょうか?そう、証券会社と銀行にモラルがないからです。
そもそも投資家が誤解をして毎月分配型ならなんでもいい、しかも分配金の額が高いほどいい、と単純に理解してしまっているのは、投資家に金融リテラシーが足りていないから、と言えばそれまでですが、そんな投資家をそのままにして、証券会社と銀行がだったらそれで稼げばいい、と稼いでいることが問題なのです。会社の利益を追求することは上場企業にとって当然の行為ですが、販売者である証券会社と銀行がモラルなしに投資家にリスクを取らせることのほうが大きな問題だと私は思います。
証券会社や銀行ばかりが悪いわけではありません。ちゃんと理解しない投資家にも問題があります。そもそも問題だと思った人は、私に相談に来ていますし、私に相談しなくても本屋やネット上にいくらでも毎月分配型がおかしいという話はあります。妬み僻みから言っているのではなく、おかしいものはおかしいからおかしいと言っているのです。それを臭いものには蓋をしろという感覚なのか、単純に気づかない人間なのかはわかりませんが、気づかないことに問題があるのです。だから金融に関しても意識を高めて、相談できる人に聞いてください。
結果、今回の対策をしたとしても何も変わらないと思います。証券会社の印刷費用、コンプラ周りの人件費がかさみ、営業マンのストレスが多少増えるくらいです。理解したら誰も毎月分配型など投資せず、すべて継続投資(複利運用)のタイプ(海外ではこれしかない)に統一されるはずですので、されない限りは今と同じ誤解が続いていっているということです。
規制にも証券マンにも銀行にも頼ってはいけません。自分の身は自分で守りましょう。
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