アジア各国、実質マイナス金利
新興国は金利が高い、というイメージが強いと思う。もちろん日本のゼロ金利に比べると実際の金利は高いのだが、それは名目金利のこと。名目金利の反対の言葉が実質金利。「実質金利」というのは、インフレ率を引いた金利のことを言う。そう、物価が上昇してしまえば、たとえ金利が付いていたとしても、同じように不動産や物の価値が上昇していれば、銀行に預けておいた意味がないからである。
そしてこの「実質金利」は日本よりも下回ってしまっているのが、アジアの新興国の状況。例えばバブルの懸念のある中国。中国は昨年金利を2.75%に上げたが、物価の方は従来の目標3%よりも大幅に高い5.1%まで上がってしまい、実質-2.35%の金利。
お隣り韓国も政策金利が2.5%に対し、インフレ率は3.5%。実質-1.0%金利。
タイの金利は2.0%だが、インフレは3%。実質-1%の金利である。
じゃあ、金利を上げればいいんじゃないか?と考えるかもしれないが、金利上昇はその国の通貨の価値も上げてしまうことになる。そう、自国通貨が強くなってしまうのである。自国通貨が強くなることは、経済成長を続けていく際に弊害となるのでそれはなんとかしたい。結果、利上げではなく、外国資本の規制緩和という形で、自由経済の主旨とは反することになるが、自国以外の国からの投資だけを抑制することになる。グローバル化しすぎてしまった今の経済にはこれも必要だと思う。
個人投資家からすれば、これらの材料を使って、自分のこれからの投資ポジションを決めなければいけない。金利が上がっても新しい規制ができてしまっては、直近のブラジルレアルのように大幅に下落してしまう。よくよくこういった情報に注意をしておきましょう。
そして投資のリスク回避の鉄則は分散投資です。通貨も一つの通貨だけを持つのではなく、いくつかに分散しておいた上で、どのような状況になってもどこかで利益が出ている状態にしましょう。ブラジルレアルだけもダメですし、新興国だけでもダメ。ましてや日本円資産100%でもダメということですよ。