【資産運用Q&A】通貨選択型エマージング・ボンド・ファンド(トルコリラ)について
<Q.>(2012年6月時点)
先日、大和証券のエマージングポンド(通貨トルコ、リラ)を進められました。
現在の価格が底値なので買いどきらしいですが、どうでしょうか?スペインの金利も7%超え、欧州債務問題に対する市場の懸念が高まり続けていますが。
<A.>
「通貨選択型エマージング・ボンド・ファンド(トルコリラ)」について
はじめまして、K2 Investment 投資アドバイザーの眞原です。
質問にお答えします。
まず、通貨選択型投資信託において底値だから買いという投資手法は中長期での資産形成には沿いません=資産形成というよりも、金融用語でいう「逆張り」の思考方法です。全ての投資信託が設定時に基準価格が10,000円から運用スタートしますが、基準価格の値動きによって上記のようにお考えになる方もいます。これについては、弊社会長の河合圭が、過去のブログ記事でまとめていますので、下記をご参照下さい。
※『河合圭のオフショア投資ブログ(基準価格10,000円の魔法)』について
この通貨選択型エマージング・ボンド・ファンド(トルコリラ)は通貨選択のトルコリラを気にされる前に、そもそもの投資先(投資対象)が重要です。投資信託の名前でも分かるように、新興国の社債および国債へ投資しています。
以下、開示されている運用報告書から投資先の国別比率を抜粋すると(中南米、アジアを選好するとのこと)
1.ロシア 10.2%
2.ブラジル 7.9%
3.メキシコ 6.8%
4.アルゼンチン 5.6%
5.トルコ 5.5%
以上のように中南米の投資先比率が高く、他にはカザフスタン2.6%、イラク1.9%など中東諸国も含まれます。
現在、新興国はインフレ懸念は沈静化してきていますし世界経済が減速基調なので、金利上昇局面は終わりつつあるとの見方もありますが、基本的には投資組み入れ先のロシアを始め、流動性が乏しい新興国の債券が中心で、流動性リスク(債券残存年限は3ヶ月程度)や地政学的リスクを考えなければなりません。
例えば、イランの場合には核開発の動きなどもあり、今後また原油価格高騰に繋がるような動きがあればインフレリスクが再燃する可能性もあります。
トルコリラについての為替見通しは、各証券会社や各アナリストによって異なりますが、中長期的には現在よりも円安方向になっていくとは思います。ただ、もともとトルコリラという通貨供給量自体が相対的に乏しいので、資金の流出入によって大きく上下に乱高下しやすいハイリスクハイリターンな通貨だと思います。また、分配金水準が高い商品なので、たこ足分配(元本取り崩し)になっています。
投資信託については、今後の投資対象が上昇するかどうかが重要です。分配金について「分配金が出ているから運用がうまく行っている」と大きく勘違いされている方も多数いらっしゃるので、同じく弊社会長の河合圭がブログ記事にまとめているので、こちらもご参照下さい。
※『河合圭のオフショア投資ブログ(投資信託の分配金と基準価格)』について
質問者さんの通貨選択型エマージング・ボンド・ファンドも、もちろん下記のランキングに入っています(上から17番目)。こちらについても同じく河合が分かり易くまとめていますので、こちらもご参照下さい。
※『河合圭のオフショア投資ブログ(毎月分配型ファンドのタコ足分配ランキング)』について
代表&投資アドバイザー
眞原 郁哉