【資産運用Q&A】日経平均連動債とは?
<Q.>
ノルウェー地方金融公社円建て日経平均連動債を購入しており償還日を迎えます。元本保証と言われていましたが、現在3割強の損金が出ているとのことで、営業マンから早急に外貨MMFに買い替えるよう急かされています
償還後そのままにしておくと面倒なことになると言われています。どういう面倒があるのでしょうか?
今週中にMMF購入自動買付申込書を提出するよう急かされております。その言葉に従うことがよいのかどうか判断ができません。というのはこの営業マンから勧められて数年前に素人には難しい商品をいくつか購入し、今損金をたくさん出しています。勉強不足の自分を責めるのですが、適格なアドバイスをいただければと助かります。
<A.>
はじめまして、K2 Investment 投資アドバイザーの眞原です。
質問にお答えします。
発行条件の目論見書を伺わなければ、その商品に合致した回答が出来るか分かりませんが、一般的な「日経平均連動債(=日経リンク債と呼びます)」について説明をした上でアドバイス致します。
まず「元本保証の債券」ではありません。そして「運用(債券、株、投資信託など)」に関して、元本保証という事はありません。営業担当を決して擁護する訳ではありませんが「元本保証のような債券です(日経平均がある一定以上に下落しなければ)。」というセールストークではありませんでしたか?
以下の画像部分は、日経リンク債の仕組みを示した図です。
(日本証券業協会HP より)
早期償還のケース①日経平均の早期償還水準まで上回り早期償還の場合
→額面で早期償還
満期償還のケース②早期償還水準を上回らず期間中に1度もノックイン価格以下にならなかった場合
→額面で満期償還
③各判定日に早期償還水準を上回らず期間中にノックイン価格を下回るも、最終評価日が当初株価を上回った場合
→額面満期償還
④各判定日に早期償還判定水準を上回らず期間中にノックイン価格を下回り、最終評価日の日経平均株価が当初株価を下回った場合
→額面金額×(最終判定日経平均/当初株価)=償還金額(勿論マイナス)
質問者さんは恐らく上記の④だと思います。またこれが外貨で償還されると思います。償還日を迎える(=30%ほど?の実損が発生する=円で投資したにも関わらず、外貨で償還する)という認識で間違いないでしょうか?
もしこの条件であれば、日経リンク債に投資した時の為替レートと現在の為替レート(円は大半の通貨に対して上昇=円高なので)では、円高の煽りを受けてマイナスが出る事は当然です。
証券マンからすれば、円ではなく外貨で償還したその外貨を質問者さんのMRF口座や外貨MMF口座から資金流出させたくない(その証券マンの評価もありますから)との思いもあります。ただ、そのように償還した際の外貨の運用方法として、限られた選択肢しかありません。まず外貨MMFに資金を移して(外貨MMFの買付=もちろん手数料はかかりますが、銀行の外貨預金より安いです)→①外貨MMFのままにしておく②外貨から外国債券に投資して金利を取る③はたまた外貨ベースで投資可能な投資信託への投資を勧めてくる、恐らくこれら3つ位しか選択肢はありません。
これらを踏まえた上で結論として、外貨MMFへそのまま移す方が賢明です。
もし、償還した外貨を現状の円高局面(対米ドル、対ユーロ、対豪ドル、対ポンドなど、投資された時からはまず円高になっているはずです)から円に戻すといのは一層マイナス幅を広げる事に繋がります。
「そのままにしておくと面倒」というのは、営業マンにとってという方が正しいかも知れませんが、質問者さんにとっても運用方法が限られているので致し方ない選択肢かと思います。
ただ、営業マンにとっては商品案内の際に「基本的には※全員が全員とまでは言いませんが」セールストークですので、しっかりと判断して下さい。
下記は、弊社会長の河合圭が以前に「証券マンのセールストーク」をブログ記事にまとめていますのでご参照下さい。
※『河合圭のオフショア投資ブログ(証券マンのセールストーク)』について
また、「為替」については考え方を変えますと為替の捉え方が変わりますので、弊社会長の河合圭が分かりやすく記述しているこちらもご参照下さい。
※『河合圭のオフショア投資ブログ(為替リスクとは?)』について
代表&投資アドバイザー
眞原 郁哉