エマージング・ボンド・ファンド・カレンシー・セレクション 〜三菱UFJ証券
今日は実に奇妙な三菱UFJ証券のエマージング・ボンド・ファンド・カレンシー・セレクションをご紹介します。
何が奇妙かというと、このファンドと並行してエマージング・ボンド・ファンド・カレンシー・セレクション(2)というのと、三菱UFJ新興国債券ファンド 通貨選択シリーズというのも出しているところである、、。いったいどうしてこんなわかりづらい設計にしたのか・・・。
全部まとめて説明をすると、これらのファンドは新興国の債券に分散投資して高い金利を取るのが目的。もう一つ特徴なのは、だいたいどの通貨からも投資できるという点である。選択可能通貨は以下の通り・・・
円
米ドル
ユーロ
豪ドル
ブラジル・レアル
南ア・ランド
トルコ・リラ
外貨で投資するメリットは、為替ヘッジプレミアムを取れること。以前、野村新エマージング債券投信(通貨選択型)について書いた通り、為替ヘッジプレミアムとは、運用している間、その2国間の短期金利差分、もらえる金利のことをいう。仮にブラジルが8.4%、日本が0%で、ブラジル・レアル建てで運用したとすると、その差8.4%の金利を年間もらいながら、さらに新興国債券の金利ももらえることになる。
三菱UFJ証券は、おそらくどの通貨からも新興国債券への投資を可能にしたことで、各通貨建て債券の満期や、まだ満期前の債券からの乗り換えをすることが主な目的だろう。そもそも証券会社にとって債券とはあまり手数料を稼げない商品である。なぜならば、3%などの購入手数料はなく、信託報酬もない。債券は「手数料」という形ではなく、「スプレッド」として、「発行者と投資家の間の価格の開き」を証券会社がもらうことで、成り立っている金融商品である。仮に発行価格100円の債券であれば、99円で発行体から仕入れてきて、1円(1%)が証券会社の収益になるという具合だ。どちらにせよそんなに儲かる話ではない。だったら債券→ファンドにしてしまおうということである。ちなみに以前のブログでもご説明したが、投資家にとって最も手数料を抜かれない(手取りの多い)金融商品は外貨MMFである。もう一つ付け加えると、5000万円から投資できる(証券会社に言わせれば「稀少性の高い」)仕組債(日経デジタル債、デュアルカレンシー債、順デュアル債など)は5%など自由に中を抜くことができる、証券会社にとってはドル箱商品である。
このファンドの具体的な投資対象先である新興国債券については、どこにも具体的に書かれていなかったので、なおさら?な商品でした。これで投資をする投資家がいるのかどうか・・・。
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