日興AM中国A株ファンド(黄河)
中国株を語るとき、まず2つの市場があることを認識しなければいけない。A株とB株である。A株とは中国人のみが買える株式市場で、逆にB株とは外国人が投資できる枠である。これはいびつな構造で、東証と大証の二つの取引所で上場しているという次元の問題ではない。東証と大証の場合、どちらも誰でも投資できるが、中国市場は違う。完全に懐の違う人間がそれぞれ投資をしているので、株価も違うし、動き方も全く違う。
例えば、2008年の金融危機。世界中下がる中、A株市場だけは関係ない状態だった。なぜならば、世界中のお金がそこには入っていなかったからである。信用収縮も関係なく、バブル気味な中国景気に支えられる格好となった。
しかし、そのA株市場も少しずつ外資に開放しだしている。ちょうど今NHKでやっている大河ドラマ『龍馬伝』の黒船襲来、鎖国の終了のような話である(私も珍しくこれは見ている)。その枠は大きくないのだが、このファンドがそのA株に投資できるファンドの一つである。
名前は日興AM中国A株ファンド(黄河)。基準単価を見てみよう。
2005年に発売されて、最高で5倍まで上がり、今は最初から見ればそれでも2倍の状態。
ポートフォリオ別に見てみると、上海と深センのA株に投資をしていて、人民元建てに80%以上投資をしている。
為替の話をすると、中国の通貨は人民元。人民元は過去固定相場を続けてきたが、近年バスケット制というレンジ内の動きをするように為替操作をしながら調整する制度に移行。そこから少しずつ元の切り上げが始まった(つまり元高円安)。今、さかんにアメリカが人民元の切り上げを求めてきているので、将来的には変動相場制に移るが、まだしばらくは無理。なぜならこちらのブログにも書いたが、中国はまだまだ外需と政府からの投資に依存している。もっと内需が強固なものとなり、自分たちの力で稼いで、高い賃金を得、消費をたくさんするようになったから、やっと変動相場制にできるであろう。
となると、海外投資でリスクとなっている為替。これが中国A株への投資の場合、リスクではなく、当然将来的には上がるもの、と考えられる。以前の円ドルを考えてみよう。戦後固定相場制だった頃、名前の通り1ドル=360円だった。しかし、日本の高度経済成長を経て、日本も変動相場制に移行した。最も円高だったのは1ドル80円の頃。これは円の価値が4.5倍になったという意味である。アメリカ人と比べると、日本人の資産が4.5倍になったという意味である。中国も中長期的にはこういった現象が起こると言える。投資するのにいい対象先である。
他に中国A株の投資先として考えられるのは、上証50連動型上場投資信というETFである。ETFとは株だと思っていい。株式と同様に売買できる上に、手数料も株式と一緒。つまりファンドのような高い信託報酬、購入手数料もないのである。
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