ライフネット生命保険IPO
会社を経営していると、常に何かを判断する必要が出てくる。それは小さなことから会社の中長期の経営戦略のような大きいことまで色々だ。
3/15日にマザーズへ上場するライフネット生命保険も設立間もない企業の一つ。目論見書によると・・・
設立:2006年10月
生命保険営業開始:2008年5月
<主要役員>
代表取締役社長:出口治明(日本生命保険相互会社出身)
代表取締役副社長:岩瀬大輔(ボスコン、リップルウッド、HBS出身)
常務取締役:中田華寿子(電通、スタバ、GABA出身)
取締役:大西又裕(大蔵省、銀行・証券局・経済企画庁・国税庁出身)
2007年 2008年 2009年 2010年 2011年
保険契約件数(総計):2,712件 17,962件 51,356件 103,875件
年商(主に保険料収入):0円 2.5億円 6.5億円 18億円
経常利益 -0.2億円 -6.8億円 -13億円 -10億円 -8億円
商品数:3つ
現預金:2.6億円
負債:21億円
株主資本:86億円
従業員数:72名
従業員年収:852万円(平均37歳、勤続2.6年)
主要株主:
マネックス 17.31%
あすかDBJ 17.31%
三井物産 13.3%
新生銀行 9%
セブン・フィナンシャル 9%
NF Japan 4.62%
資産管理サービス信託銀行 4.61%
朝日ネット 4.61%
Globis Fund 3.6%
リクルート 3.46%
岩瀬大輔 2.13%(770,000株)
出口治明 2.05%(740,000株)
従業員一人あたりのストックオプション:4,000~48,000株
主幹事:野村證券
これからわかることがいくつかあるが、まず会社の年数が浅いこと。当初からVC(ベンチャーキャピタル)の出資を受けて、また生保、Web、コンサル、マーケティング、官僚出身の役員を揃えて、元々上場することも視野に事業をしてきたということ。
Web&Telで完結のプル型生命保険営業をしている、新しい業態の生命保険会社で、毎年契約件数、売上を共に伸ばしている。ただそれでも毎期赤字決算(経常利益)。借入が多いがキャッシュが2.6億円と意外に少ない(その分投資にまわしている)。
従業員数も少なく勤続年数もまだ浅いし若い。それでもストックオプションをもらえていて、最低でも4000株(初値が1200円だとして480万円分)、多くて48,000株(初値1200円で5760万円分)もらっている。役員では副社長の岩瀬さんが36歳で最も多くストックオプションを保有していて、770,000株ある。初値1200円で9.2億円分だ。
どんな方向へ、何をゴールに経営をするかというのが経営者が最も考えるべきことであるが、経営者であることと株主であることはまったく別。私は経営者でもあり株主でもあるので、すべて自分のしたいように決められるが、ライフネット生命保険のように、最初から多くの出資をVCから受けていて、株主の意向(上場益を得ること)の元、経営をしていくのとはまた違う。その代わりに得られるのは、大量の資金による大量マーケティング、人材確保などである。要は時間と資金にレバレッジをかけて、短期で企業成長できるというものである。
さて私の会社に戻ると、どのペースでどのように人材を増やしていくのか、資金(借金も出資も受けていないのですべてキャッシュ)をどのようにマーケティング費、設備投資(主にWebサイト)にまわしていくのかという決断である。答えは一つではないし、私が出した答えがうちの会社においては唯一の答えとなる。常にTrial&Errorの繰り返しである。。
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