ワクチン債 ~JPモルガン
今、ワクチン債という名前で外債を募集し、予防接種のための国際金融ファシリティ(IFFIm)というところが資金調達をしています。
要はこの債券で資金調達し、その資金を使って新興国などにワクチンを配布するためのお金とするということです。発行体である「予防接種のための国際金融ファシリティ(IFFIm)」は国連機関のため格付けは当然AAA。ワクチンを配布するので投資収益がないのでは?と思われると思いますが、実は先進国が毎年寄付をしていくことで、この資金を回収できるようになっています。
債券の仕組みについては上記URLを見ていただくとして、さて、今回発行されるのは以下の4通貨。
ブラジルレアル(3年):6%
南アランド(4年):6.85%
豪ドル(3年):2.60%
NZドル(3年):2.65%
同じ形式でいろいろな金融機関で募集しているので、他にも違う通貨、期間、利率で募集しているかもしれませんが、期間が長くなれば金利は高くなる、という仕組みになっています。
投資兼社会貢献になるので、いいことだと思いますが、実際収益だけを考えた場合、
豪ドルMMF(満期明日):約4%
ブラジルレアル定期(3ヶ月):7%
という数字を見ると、上記債券の投資メリットが極めて低いことがわかります。さらにいつも言っていますが、金利上昇局面(上記通貨はすべてそう)は満期以前の期間中はいつも債券単価は元本割れします。つまり途中解約しようと思うと、いつも損をしてしまうということです。
だから昔のように直接金融(証券会社)で外貨MMFがなかった時代はしょうがないですが、今の時代、直接金融で直接外貨を購入できるのですから、債券という商品に投資をすること事態がすでに機会ロスになっているのです。
〇〇債券ファンドであっても同じこと。たくさんの債券を抱きあわせているだけなので、債券の種類が増えるだけです。しかもファンドにすることでいらないコストばかりがかかり、結果債券単体よりも利回りが低くなります。ファンドなんだから、ファンドマネージャーが債券単価でもリターンを出してくれる?「ブラジルレアル債券」「米国ハイイールド債」「グローバル・ソブリン」とすでに運用できる範囲が限られているので、ファンドの債券の単価は皆一切に下がるわけですから、そんなことを考えた運用などできるはずないのです。要はそういって約束して投資してもらったのだから、下がるのはしょうがない。ファンドマネージャーの腕が悪いのではなく、投資家がそう選んだのだからしょうがない、のです。
債券=安全資産とうたっている証券会社、銀行には申し訳ないですが、これが現実です。
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