野村エマージング・ソブリン 円投資型 201101
本日は野村證券の新商品『野村エマージング・ソブリン 円投資型 201101』をご紹介します。
このファンドは今までの新興国債券ファンドとは少し違います。それは円建てになっていることです。通常のファンドは外貨建て、もしくは外貨建てで運用しているが評価は毎日円建てで行っているので、「新興国債券の高い金利+為替ヘッジプレミアム」がもらえます(基準価格が円表記されていても、ちゃんと為替リスクはあるので気をつけてくださいね)。
そして今回のファンドは「円投資」と書いてあるように、わざとこの為替リスクをなくすために「円ヘッジ」しています。円ヘッジするという理解が難しく思うかもしれませんが、簡単なことです。通常このファンドのように新興国債券へ投資をする際には為替リスクが伴う。しかしある取引(ヘッジ)をすることで、その為替リスクをゼロにすることができるのです。
だったら日本人の誰もがこの「円ヘッジ」の方がいい!と言うと思います(笑)。日本人は外貨(為替リスク)が嫌いですからね(苦笑)。しかしそんな単純な話でもありません。なぜならこの「円ヘッジ」には費用(コスト)がかかるからです。
まずこの「為替ヘッジコスト」をするのに上記「為替ヘッジプレミアム」をご一読ください。「為替ヘッジプレミアム」が理解できたら後は簡単。外貨で運用する時は、この「為替ヘッジプレミアム」がもらえますが、円ヘッジする際にはこの「為替ヘッジプレミアム」が丸々「為替ヘッジコスト」となります。そう、豪ドル建てで4.5%の為替ヘッジプレミアムをもらえていたとすれば、このファンドは毎年4.5%のコストがかかるということです。そう、決して安くはないですね(笑)。だから通常はこのような「為替ヘッジ」はつけません。
しかし野村證券がこのようなファンドを作ってきたのは、他社で募集している『DIAM毎月分配債券ファンド(愛称:円パワーズ)』というファンドが意外にも売れているから。
野村證券はそもそもあまり保守的ではなく、どんどん賭けて賭けて、商品を回転回転させて、売買手数料を稼ぐ会社です。そのため本来このような円建てのリスクを落とした、しかも金利の低い商品は好みません。なぜなら一度保有したら定期の代わりに長期間保有してしまうからです。しかしやはり世の中には保守的な資金もあり、日本の個人投資家の多くがいまだ保守的な資金管理をしています(日本国内の個人金融資産に占めるリスク資産の割合はたったの8%)。ということで、こういったものも作ってきたということでしょう。
こちらが金利です。約3.7%/年です。
為替ヘッジを付けると、これだけ金利が低くなるということです。
そして投資対象先がこちら。投資対象国はこれで固定ではなく、相場状況に伴い変更します。最悪100%日本国債になることもあるそうです(新興国に信用危機が起こった時)。国の平均格付けはBBBなので、やはり信用リスクは高いですね。
そして金利が低いので、やはり最初に購入手数料を取ってしまうと、元本まで戻るのに時間がかかってしまうため、購入手数料はありません。その代わり、以下のように解約時に手数料がかかります。保有期間が長くなればなるほど、手数料が安くなり、6年以上たつと解約手数料もゼロです。ま、野村證券が6年もそのまま持たせてくれれば、の話ですけどね(笑)。
定期預金の代わりに使うという方にはいいかもしれませんね。