東京電力 公募増資(PO)
先日のブログでご紹介したように、今年は積極的な事業戦略のための公募増資(PO)が増えています。
本日はその中でも、これから募集される東京電力のPOについて書きたいと思います。
皆さん、御存知の通り電力会社は元国営であり、各地方に存在します。関西電力、中部電力、九州電力・・・などです。元国営ということもありますが、電力というのは景気が良くても悪くても使用せざるをえないものなので、比較的景気に左右されないディフェンシブ銘柄の代表格とも言えます。
また配当が日本株の中では比較的高いということもあり、資産株として長期保有されている方も多いです。相続などでもらった方も多いのはないでしょうか?どのくらい配当がつくかというと、毎年1株当たり60円配当を出していて、今の株価が約2000円なので、60÷2000=3%です。3%の配当というのは日本では高い方。海外ではそんなに高くない方です。
ただ最近おかしいのは、株価がディフェンシブ銘柄らしくない動きをしていることです。2007年に4500円の高値をつけてから、他の日本株と同様に下がっていて、今なお下がり続けています。さらに今回のPOの発表で、一日で7%の下落(汗)。今回5500億円資金調達するのですが、株数にしてなんと2億5415万株です。つまりそれだけ既存のマーケットに新しい株として出てきてしまうので、東電の株の価値は希薄化します。今まで保有していた株主の株の価値も下がり、目先は株主にとっていいことはありません。
それでも29年ぶりのPOを決行したのは、株価が安い今のうちに資金調達をして、積極的な事業展開をしようということです。特に円高の今は日本円で資金調達した資金を使って、外国へ持っていけばとてもいい投資になります。
東電の事業戦略は以下のとおり。
国内原発事業:2700億円
海外(アメリカ、豪州)原発・液化天然ガス(LNG)事業:2800億円
また今回のPO以外の資金を含め、中長期的には・・・
国内設備投資:2兆5000億円
海外事業展開:1兆円
を使っていくそう。
個人投資家にとってポイントとなってくるのは、これらの事業を行っていくことによって、今までのような単純なディフェンシブ銘柄ではなくなっていくということです。つまり投資の結果次第で、株価は大きくぶれ、配当の増減もあることでしょう。株は長期保有するには危険な資産です。リスクが高いからです。東京電力も株だということを忘れずPOに応募するかどうかを決めましょう。募集は以下の証券会社で行っています。
・野村証券
・大和証券キャピタル・マーケッツ
・日興コーディアル証券
・みずほ証券
・三菱UFJモルガン・スタンレー証券